『手紙は着流しで談笑するが如く』
福沢諭吉書簡集より、特に時代のポイントで重要な手紙を抜粋して単行本化したもの。
書簡集では、とっつきづらかった漢文候文を一部読み下して普通の読者にも読みやすいように編集されている。編纂者達も「日本語がここまで変貌した」とまで言わしめ、福沢書簡の原文の微妙な意味が損なわれるのではと危惧したとまで書かれていた。だが一読すると、そこまで極端に損なわれてる訳ではないので、もし気になるようなら福沢諭吉書簡集〈第1巻〉安政四(一八五七)年‐明治九(一八七六)年も伏せてお勧めする。
内容としては、福沢イデオロギーの原典、慶応義塾の経営、自由民権運動に対する考察など、福沢が生きた近代日本の問題点を抉っている。また、自身の問題である“脱亜入欧”に通じる思想も含まれている。以外や福沢は中津藩旧主奥平家に対して敬慕しており、福翁自伝で書かれている事と、自身の考えに隔たりが有り、やはり武士としての矜持を持っていたというのは面白いポイントともいえよう。