『科学者の"卵"は必読!科学者として "一人立ち"するためにも。(^-^)』
我々の周りには「経験的には知られていても理論的にキチンと説明できていない物理現象」が実は溢れています。本書で扱われる回転する卵が立つ話も(著者が解決するまでは)そのような事例の一つでした。しかしそのような事例は、"教科書"には載らない(or 載せにくい)ために、その重要性が見過ごされてしまいがちです。「教科書に載らない事例なのだから試験にでない(=大事でない)」とか「その謎が解けたところで、どんな風に役に立つのか?」などと思ってしまったりもするわけです。しかし科学の本来の価値/面白さは「分からなかったことが分かる」という"価値創造のプロセス"にあります。(良い問題を立てる方が問題を解くよりも大事なわけです)
こうして科学者が難題に直面した際に、科学者としての資質(センス)が問われるのですが、そこで必要なのは「懐疑する精神と不思議さに驚嘆する感性」(Carl Sagan)です。本書の著者とケンブリッジの教授がこの回転卵の難問に対峙する姿は、まさにこの精神を体現したものだと言えます。「分からないことが分かりたい」という一念で突き進む姿は読んでいて清々しく、謎が解ける時の"ワクワク感"を共有できます。「好奇心」「やる気」「忍耐力」があれば価値のある科学研究を行うことができるという好例がココにあります。自分の周りの景色を見る目も変わります。また英国の科学の伝統・雰囲気も良く分かります。科学者の卵(大学生?院生)は必読でしょう。
本書は寺田寅彦・中谷宇吉郎ファンには堪らない一冊です。中谷先生の「立春の卵」という随筆("立春の日は卵を立てられる"という俗説は不正確で"立春でなくとも卵は立つ"、卵を立たなくしているのは「卵は立たないものだ」という我々の固定観念であるという話)と併せて読むと面白いでしょう。
では"無重力ブーメラン"でも考えてみましょうか? φ(. .);;