『安易な訳書』
中世文化史研究者ラスカム氏の日本での講演原稿をまとめて訳した書物です。
気になった点をいくつか上げておきます。
・訳に値するものなのか?
内容は時に専門的で、時に概説的で、統一性がかけています。
文章も淡白で心に迫ってきません。
・訳者が目立ちすぎでは?
私は本の訳者は黒子のようなものだと思っているのですが、この本では、訳者の名がいたるところに現れます。読んでいて、これ訳したの俺なんだぞとアピールされているみたいで、あまり気持ちのいいものではありません。ただし、訳注はよくできていると思います。
・帯の文句、センスありますか?
「叙任権闘争のアンセルム、エロイーズとの恋のアベラール、云々」
などなど。
どうせなら、ラスカム氏の専門書とか、!サザーンの「スコラ学的人文主義」といった、他の重要文献を訳してほしかったです。
安易な業績稼ぎ的訳書と受けとられても仕方ないように思えます、これは。