『「現場」の思想と徹底した対話』
2001年9月11日以後の危機的な世界情勢に対してわれわれはいかに対峙すべきか。この問いを前にして、日本のビジョン、世界のビジョンを抽象的に考えていても、おそらく問題は解決しない。「市民」という立場に立つかぎり、問題は個別具体的に対処していく他ない。そうだとすれば、本書が掲げる「近代化とアジア」「民族と文化」「生命と倫理」「都市と市民」「政治と市民」といったテーマについて、徹底的な「対話」を続けていくことは、どのような「世界」像を形成するにせよ不可欠の前提となるだろう。
小熊英二によって再評価され、その根底的思考にふたたび視線が注がれる小田実、韓国の近代化の問題を真摯に問い続ける黄ル暎、「すべての武器を楽器に」をテーマに音楽を奏で続ける喜納昌吉、先端医療!の暗部を鋭く抉り出す「脳死・臓器移植拒否宣言」の山口研一郎、阪神・淡路大震災を人災として告発する早川和男、議会制民主主義の問題にラディカルに取り組む志位和夫。
本書は、各界を代表する「現場の思想家」による徹底した「対話」を通じて、われわれ一人ひとりが現代の錯綜する諸課題にいかに対峙し、どのように「自前の思想」を構築していくべきかをラディカルに問うている。